手の外科
手の症状でお困りではありませんか?
  • 指が動かしづらい
  • 指が痛い
  • 指が変形している
  • 指を曲げると戻らない
  • 指が腫れている
  • 手指がしびれる
  • 手指にできものがある
  • 手がこわばる
  • 手首が痛い
  • 手を怪我した
  • 突き指をして痛みが続く

手の外科とは

手外科専門医は手の疾患のスペシャリストです
手は二足歩行を獲得した人間にとって、道具を自由自在に操る能力をもたせる特殊な器官です。親指と人差し指、中指で物をつまむ動作は人間が獲得した特殊な能力です。手は触れることで情報を取り入れる知覚機能とともに、顔を洗う、箸を使う、スマートフォンを使うなど多くの運動機能を持っています。
整形外科の中でも、「手」は特殊な知識や技術を必要とし、整形外科から「手外科」として独立した専門性のある分野として認められています。手外科専門医が佐賀県に10名所属しており、保存治療から手術治療まで様々な治療を行っています。上肢の骨折や脱臼、腱鞘炎、変形性関節症、末梢神経障害、スポーツ障害、腱・神経・動脈の外傷に対して、関節鏡というカメラを用いた治療や顕微鏡を用いたマイクロサージャリーなど、整形外科の中でも専門性の高い治療を行っています。特に、腱鞘炎(ばね指)や手根管症候群は、患者さんの数が大変多いため、高齢社会の中でも充実した生活ができるようなお手伝いを行っています。
手の外科
当院ではお薬やギプス・装具などの固定治療の他、リハビリテーションも行っております。また、必要となれば、当院ないしは近隣の提携病院で手術を行うこともありますので、お気軽にご相談ください。

手術実績

  2025年 2024年 2023年
靱帯縫合・再建 0 1 1
デュピュイトラン拘縮除去 0 0 1
手根管手術 Open 1 3 16
手根管手術 鏡視下 16 14 5
腱鞘切開 ばね指 28 16 8
腱鞘切開 ドゥケルバン 3 2 1
橈骨遠位端骨折 0 10 5
舟状骨骨折・偽関節 1 0 0
母指CM関節症手術 0 1 3
腱縫合・腱移植 2 2 7
手骨折 0 15 6
骨内異物除去術 2 8 8
尺骨神経前方移行術 1 2 2
その他神経剥離術(前骨間、後骨間) 3 0 0
尺骨短縮術・TFCC縫合術 1 2 4
軟部腫瘍摘出(腱鞘ガングリオン含む) 4 6 8
粘液嚢腫手術 1 6 2
矯正骨切り術 0 1 0
その他 3 8 2
計 66 97 79
その他・・・手関節滑膜切除術、腱性マレット、皮下腫瘍、指滑膜切除術、肘関節滑膜切除、骨腫瘍、下腿軟部腫瘍、肩軟部腫瘍

手の外科で診る主な疾患

骨性マレット

指の第一関節(DIP関節:爪に最も近い関節)が曲がったまま伸ばせなくなった「マレット指」というケガのうち、骨折を伴うものを言います。骨折を伴わないものは、腱性マレットと言います。いわゆる突き指の状態で、スポーツなどの衝撃や指を挟んだりして起こりやすいケガです。しかしただの突き指だと思って放置していると、関節がずれてしまう亜脱臼を起こし指が変形して曲がったまま固まってしまうことがあるため、早期診断と治療が大切です。

症状

  • 指先をぶつけて、痛みと腫れ、内出血が続いている
  • 手指の第一関節が伸ばしづらい
  • 手指の第一関節が曲がったままで伸びない

保存治療

軽度の骨折であれば、装具固定での保存治療が第一選択となります。

スプリント固定

治療には添え木のような専用の装具を用いたスプリント固定を行います。第一関節を伸ばしてしっかりと固定することで、痛みの緩和や伸展角度の改善を目指します。

手術治療

重度の骨折が認められる場合は、手術治療が必要となります。原則的には、医療用のピンを用いて骨折部を整復し、スプリント固定を併用して関節を固定します。

石黒法

剥がれた背側の骨片をピンで押さえて正しい位置に整復し、関節を固定する方法です。挿入したピンを抜去する時期は決まってなく、レントゲンなどで骨膜が安定し骨折部が癒合したと判断できた後抜去します。

単ピン法

当院では、溝口病院の単ピン法(経皮的伸展位固定法)での手術も行っています。1本のピンを指先から通して皮膚に埋め込んで関節を固定する方法です。骨片が自然と元の骨折部に引き寄せられ、癒合が進むようになります。

母指CM関節症

母指CM関節症とは

親指のつけ根には、「母指CM関節」(中手骨、大菱形骨の間にある)があり、物をつまむ・握る・ひねるなど、親指を自由に動かすためにとても大切な関節です。
長年の使用ないしは骨折などの怪我により、関節を支える靱帯がゆるみ出します。関節が不安定になると、軟骨への負担が増え、関節炎や筋肉の炎症、関節の変形をきたします。この炎症や変形が起こる病気を「母指CM関節症」といいます。女性に多いとされています。

いつ、どのようなときに起こるの?

  • ペットボトルやビンのふたを開ける
  • 雑巾をしぼる
  • フライパンを持つ
  • スマートフォンを長時間操作する
などの動作で、母指CM関節に大きな力がかかります。

症状

初期

  • 親指のつけ根が痛い
  • 手に力を入れると痛む

進行期

  • 日常生活動作がしづらい
  • ペットボトルが開けにくい
  • タオルをしぼれない
  • 字を書くと痛い
  • 包丁やフライパンが重く感じる

さらに進行すると・・

  • 親指のつけ根が腫れる
  • 骨が出っ張る
  • 親指の形が変わる
  • つまむ力・握る力が低下する
などの症状が出ることがあります。また、親指の腱鞘炎を引き起こすこともあります。

診断

レントゲン

母指CM関節症では、「レントゲンで変形が強い=痛みが強い」とは限りません。
反対に、レントゲンでは軽い変形しかなくても強い痛みが出る方もいます。
治療はレントゲンだけで決めるのではなく、痛みや生活で困っていることを重視して行います。

治療

保存治療

  • 飲み薬・塗り薬:炎症の沈静化、除痛を目指します。
  • 装具:当院ではサムレスト、およびスプリントを使用しています。
  • リハビリ加療:生活指導とともに母指ストレッチ、筋力トレーニングを指導しています。
  • 関節内注射:関節内に注射を入れて、炎症の沈静化を目指します。

手術治療

保存治療で十分な効果が得られない場合には、手術を検討することもあります。
  • 関節鏡治療:関節内にカメラを入れて、関節内の滑膜切除を行います。普段は第1中手骨骨切り術と合わせて行います。
  • 第1中手骨骨切り術
  • CM関節固定術
  • 関節形成手術

患者さんへ

母指CM関節症は年齢とともに誰にでも起こりうる病気です。
無理に我慢して使い続けると痛みが強くなったり、変形が進んだりすることがあります。
「親指のつけ根が痛い」「物をつまみにくい」と感じたら、早めにご相談ください。
適切な治療を行うことで、痛みを軽減し、日常生活を送りやすくすることができます。

橈骨遠位端骨折

橈骨遠位端骨折とは

転んで手をついた時などに、手首に近い部分に損傷をきたすことがあります。肘から手首の関節までの部分を前腕といいますが、前腕の親指側(橈側)かつ手首側が折れる骨折を「橈骨遠位端骨折」といいます。

どんな人に多いか

1万人に10〜15人程度で、女性に多いとされます。特に、
  • 高齢者では、骨粗鬆症を背景とした転倒
  • 若年者では、スポーツや交通事故などの強い衝撃
により起こることが多いです。
骨折の程度はさまざまで、
  • 骨に骨折線が入るだけ
  • 骨が本来の形、位置からずれる
  • 手首の関節まで及ぶ
などがあります。

症状

  • 手首の強い痛みや腫れ
  • 手首を動かせない
  • 手首の変形
軽い骨折では動かせることもありますが、痛みが続く場合は受診が必要です。

診断

診察

病歴および痛みの場所、腫れ、前腕の変形、神経損傷や血流の異常を評価。

レントゲン検査

骨折の有無やずれの程度を評価。

CT検査

骨折の形態を評価。

MRI検査

骨折の有無および靱帯などの損傷を評価。
これらの検査などで総合的に判断します。

治療

保存治療

  • 骨折部を元の形に戻す(「整復」と言います)
  • シーネなどで固定する
通常は4~6週間程度固定し、その後リハビリを開始します。

手術治療

次のような場合には手術をおすすめすることがあります。
  • 骨のずれが大きい
  • 関節まで骨折している
  • 固定しても再びずれてしまう
  • 若い方や活動量が多い方
通常は4~6週間程度固定し、その後リハビリを開始します。
  • 掌側ロッキングプレート法:現在の治療では主軸となります。前腕の手首近く、手のひら側から切開し、骨折部の整復、プレート固定を行います。普段はX線を見ながら整復しますが、関節内にカメラを入れて整復(鏡視下整復)することもあります。
※術後はスプリント(プラスチック製の装具)およびリハビリテーションが必要となります。

一緒に起こることのあるけが(合併損傷)

骨折だけではなく、周囲の組織も傷つくことがあります。

手根管症候群

親指・人差し指・中指・薬指のしびれが出ることがあります。

手根骨間靭帯損傷

手首の末梢側にある手根骨の間に靭帯があり、手首の可動時痛や不安定性をきたすことがあります。

尺骨茎状突起骨折

橈骨だけでなく、隣の尺骨も一緒に折れることがあります。

手関節TFCC(三角線維軟骨複合体)損傷

小指側の手首が痛くなることがあります。

患者さんへ

適切な治療とリハビリを行えば、多くの方が日常生活に復帰できます。一方で、骨折の形や年齢、骨の強さによって治療方法は異なります。また、骨折だけでなく神経や靱帯、TFCCなどの合併損傷が隠れていることもあります。早めにご相談ください。

肘部管症候群

肘部管症候群とは

小指や薬指のしびれの原因について
肘の内側には「肘部管(ちゅうぶかん)」という、上腕骨と靭帯からなるトンネルがあり、その中を尺骨神経(しゃっこつしんけい)という神経が通っています。
尺骨神経は、小指、薬指の小指側半分、手を開くなどの細かい動きを行う筋肉を支配している、大切な神経です。肘を深く曲げると、このトンネルは狭くなるため、神経が圧迫されやすくなります。尺骨神経が圧迫されたり引っ張られたりして起こる神経障害を、「肘部管症候群」といいます。

神経が圧迫される原因

  • 日常生活:肘をよく曲げる仕事、長時間スマホを見る、デスクワーク
  • 趣味:野球などのスポーツでみられる
また、肘の変形性関節症、子どもの頃の上腕骨骨折後変形(内反肘など)、ガングリオンなどの腫瘤などが原因としてあります。

症状

最初は軽いしびれですが、進行すると筋力低下や手の変形まで起こることがあります。

初期

  • 小指や薬指の半分のしびれ
  • 肘の内側の痛み
  • 夜間のしびれや痛みで眠れない

中期

  • 箸が使いにくい
  • ボタンが掛けづらいなどの運動障害

進行期

  • 手の筋肉がやせる
  • 小指と薬指が曲がったままになる(かぎ爪変形)
中期や進行期の症状は回復しにくくなるため、早めの治療が大切です。

診断

診察

  • Tinel徴候:手首の手根管部を軽く叩いた時にしびれが誘発されるか
  • 肘屈曲テスト:肘を深く屈曲させたときの誘発
  • Froment徴候:紙を親指と人差し指で挟みます。親指が曲がってしまえば筋力低下があります。
  • 握力や指のつまむ力などを調べます。

レントゲン

骨の変形などで変形性肘関節症があるか確認します。

神経機能検査

  • SWT:知覚障害を客観的数値で測定
  • 神経伝導検査:電気刺激による神経の伝わり具合を評価

治療

保存治療

軽症では手術をしないで治療します。
  • 肘を曲げすぎない:寝るときに肘を曲げない、デスクで肘をつかないなど
  • 装具:肘を軽く伸ばした状態に保ちます。
  • 飲み薬:神経の炎症や痛みを和らげます。
  • リハビリ:神経が動きやすくなる運動(神経モビライゼーション)、姿勢改善、ストレッチなど。

手術治療

次の場合には手術をおすすめします。
  • 保存治療で改善しない
  • 筋肉がやせてきた
  • 筋力が低下している
  • 神経伝導検査で重症
  • 神経が亜脱臼している
  • 肘部管開放術:神経を圧迫している靱帯を切開し、周囲からの圧迫をとります。
  • 尺骨神経前方移行術:肘部管を開放した後、神経を前方へ移動させます。最も一般的な方法です。
  • 尺骨神経筋層下移行術:屈筋の束になる部分の中に神経を移動させる方法です。重症化した肘部管に対する方法と考えています。

後療法

指はすぐ動かせますが、2週程度の肘上から前腕までのシーネ固定が必要です。
デスクワークは約1~2週間で復帰できます。 重労働やスポーツは約1~3か月で再開します。
神経痛は徐々に改善しますが、しびれや機能回復には半年~1年程度など長期にかかると思われます。

患者さんへ

小指や薬指のしびれは、「年齢のせい」ではなく、尺骨神経が圧迫されているサインかもしれません。
早期であれば、生活指導や装具、リハビリで改善することも多くあります。一方で、筋肉がやせてしまうと完全な回復は難しくなるため、症状が続く場合は早めに整形外科を受診しましょう。