手は二足歩行を獲得した人間にとって、道具を自由自在に操る能力をもたせる特殊な器官です。親指と人差し指、中指で物をつまむ動作は人間が獲得した特殊な能力です。手は触れることで情報を取り入れる知覚機能とともに、顔を洗う、箸を使う、スマートフォンを使うなど多くの運動機能を持っています。
整形外科の中でも、「手」は特殊な知識や技術を必要とし、整形外科から「手外科」として独立した専門性のある分野として認められています。手外科専門医が佐賀県に10名所属しており、保存治療から手術治療まで様々な治療を行っています。上肢の骨折や脱臼、腱鞘炎、変形性関節症、末梢神経障害、スポーツ障害、腱・神経・動脈の外傷に対して、関節鏡というカメラを用いた治療や顕微鏡を用いたマイクロサージャリーなど、整形外科の中でも専門性の高い治療を行っています。特に、腱鞘炎（ばね指）や手根管症候群は、患者さんの数が大変多いため、高齢社会の中でも充実した生活ができるようなお手伝いを行っています。

手根管症候群は、手首の「手根管」と呼ばれるトンネル内で正中神経が圧迫されることで起こる疾患です。手首の使いすぎや加齢など手根管内の腱の腱鞘が腫れて起こります。放置すると手のひらの筋肉がやせて、物をつかむ力や機能が低下することがあります。

手首の手根管部を軽く叩いた時にしびれが誘発されるか

手首を90度に曲げた状態で1分間保ち、しびれが誘発されるか

骨の変形や異常がないかをX線画像で確認します。

ナイロン製の糸を用いて指先の感覚を評価するテストを行います。

正中神経に電気刺激を与え、神経の伝わり具合を調べます。

内視鏡を使用して手根管症候群を治療する手術法で、手のひらに約1cmの小さな切開を1か所だけ行い、そこから内視鏡を挿入して手術します。

当院ではスプリント作成も行っております。