ドゥケルバン腱鞘炎

ドゥケルバン腱鞘炎とは

親指の付け根には、手を広げるために親指を動かす2つの腱があり、手首の親指側を通っています。それぞれ「短母指伸筋腱」「長母指外転筋腱」と言います。この2つの腱は指の骨から発生する腱鞘によって形成されたトンネルの中を通過しています。親指の使いすぎやホルモンバランスの変化などで、これらの腱が腱鞘の中で通過障害を起こすことを特に「ドゥケルバン腱鞘炎」と言います。
女性に非常に多い(複数の研究から、女性は男性の3〜10倍)とされ、更年期だけでなく周産期の女性にも見られることがあります。痛む場所がほぼ同じことから、「母指CM関節症」との関連性があると言われています。

症状

  • 親指を広げる、握る動作での痛み
  • 患部の腫脹、圧痛
  • 腱鞘(親指の付け根や手首あたり)にしこりが見られる
  • 親指を動かす時に引っかかりやバネのような弾発音を起こす

診断

Finkelstein test(フィンケルシュタイン・テスト)

検査する親指を医師が持ち、手首を小指側にゆっくり動かすテストです。手首の親指側(第1伸筋腱コンパートメント)に痛みが出る場合、陽性(ドゥケルバン腱鞘炎の可能性が高い)と判断します。

Eichhoff test(アイヒホッフ・テスト)

親指を手の平の中に巻き込んで、4本の指で親指を包み込むように拳を握った状態で、手首を小指側へ曲げた時に痛みが出るか確認するテストです。腱鞘炎のセルフチェックとしてよく紹介されていますが、強く行うと痛みが出ることがあるため、注意しましょう。

WHAT sign(ワット・サイン)

手首を曲げた状態で、親指を外側に広げてもらい、その動きに対して医師が抵抗をかけ押し戻してもらったときに痛みが出るか確認するテストです。初期段階でも痛みに気づきやすいです。

レントゲン

母指CM関節症などの異常が合併したり、石灰の沈着が起こったりすることがあります。

エコー

腱鞘の腫れや引っかかり、腱の炎症の程度をリアルタイムに評価できます。

保存療法

投薬

経口薬、塗布薬・貼付薬で炎症を抑えます。

ストレッチ、虫様筋マッサージ

当院では、母指屈伸を指導して症状軽減を図っております。
虫様筋は手の平の中にあり、指を曲げたり伸ばしたりするための筋肉です。手の平の緊張をほぐすことで、親指や手首への負担を減らすことができます。

腱鞘内注射

腱鞘内の炎症が強い場合は注射療法が効果的です。
注射は年3回までは可能ですが、当院では1〜2回程度の注射を推奨しています。

体外衝撃波治療

腱鞘内の癒着、瘢痕形成(繰り返しの炎症による傷跡の組織)、軽度の炎症であれば体外衝撃波治療の効果が期待できます。
1〜2回までが望ましいとされ、当院では2回までを対象としています。

手術療法

腱鞘内の隔壁がある症例では、保存治療が効きづらく、手術に移行する症例が多いです。
当院では、腱鞘切開術を行います。

ドゥケルバン腱鞘炎の腱鞘切開術

  • 1cm程度の切開で対応するため、日帰りでの低負担な手術が可能です。
  • PIP関節(指の第2関節)が硬くならないうちに行うのが望ましいです。
  • 関節拘縮がすでに起こっている患者さんには、手術後のリハビリを徹底しています。