屈筋腱腱鞘炎とは
指を曲げるための腱(屈筋腱)は、指の骨とそれを包む「腱鞘(けんしょう)」との間に作られたトンネルのような通り道を通ることで、指をきれいに曲げられる仕組みになっています。屈筋腱が腱鞘の中で通りにくくなることを「腱鞘炎」と言います。ばね指とも呼ばれます。特にA1腱鞘と言われる、手のひら側の指の付け根部分はトンネルが狭くなりやすく、動きがスムーズでないことが多いです。
50〜60歳代の女性に多いとされ、利き手によく起こります。また、母指、中指、薬指に起こりやすく、糖尿病の発症率が15%と高いと言われています。手根管症候群(手指の痺れ、正中神経の圧迫障害)も合併しやすいとされています。
症状
- 指の付け根(手のひら)の痛み
- 特に朝のこわばりが強い
- 曲げ伸ばしの途中でカクッと引っかかる感じ
- 自力で曲げ伸ばしが困難
- 多数の指で屈伸できない
- 力が入らない
進行すると、第2関節(「PIP関節」と言います)が曲がったまま固まることがあります。
診断
圧痛の部位、可動域、引っかかりの確認をすることで臨床的に診断できます。
関節の異常を確認するのにX線(レントゲン)、腱の引っかかりや腱の炎症を見るのに超音波(エコー)を用います。
保存療法
ストレッチ
当院では、ばね指に効果のあるストレッチである「とくなが法」を用いてリハビリ加療に取り組んでいます。拘縮を減少させ、A1腱鞘(手のひら側の指の付け根部分のトンネル)が広がって、症状の改善が得られます。
腱鞘内注射
痛みが強い場合は、ステロイド材を腱鞘内に直接注射することがあります。炎症の鎮静化を目的としています。一度の注射で数ヶ月痛みが落ち着くこともあります。医師の指示のもと、適切な間隔と回数を守りながら治療を進めることが大切です。当院では、1〜2回程度の注射が望ましいとしています。
体外衝撃波治療
切らない低侵襲の治療のため、手術を避ける保存療法のひとつとして検討します。衝撃波を腱鞘炎部に当てることで拘縮改善、炎症軽減を図ります。頻回の注射療法を行うと体外衝撃波治療の効果が低くなるため、当院を含め頻回の注射なら手術加療をおすすめしております。
手術療法
保存療法で症状の改善が見られない場合、再発を繰り返す場合は手術療法を検討します。
当院では、腱鞘切開術を行います。
屈筋腱腱鞘炎の腱鞘切開術
- 引っかかりのある腱鞘を切開し、腱の通りを良くする手術です。
- 1cm程度の切開で手術が行われるため、日帰りでの手術が可能です。
- 関節拘縮がある場合、リハビリ加療を追加します。